今月の執筆者

村木武蔵

第3次世界大戦は

既に始まっているか?

昨年7月、ハイテク分野で中国の後塵を拝しているアメリカ(iphonewindowsパソコンが浸透しきっている日本の一般の人には、あまり実感がわかないかもしれないけれど)が中国の主要ハイテク分野に対し25パーセントの大幅な追加関税を課して「開戦」した米中貿易戦争は、合計数千億円・1万品目以上に及び、互いに一歩も引かない状況が続いている。

そんな「弾が飛び交う中」、スマートフォン世界シェア第2位の座をアメリカのアップルと争う中国の大手通信機器メーカー「ファーウェイ」の孟晩舟副会長兼CFOが、カナダで12月1日に逮捕された。逮捕された孟氏の父親の任正非氏は、会社創設者にして中国人民解放軍の元軍人だ。アメリカはこのファーウェイと中国軍部との関係を口実にして、ファーウェイの製品が安全保障上のリスクがあるとして、IT関連機器や次世代通信機器(5G)からファーウェイ社を排除した。

 しかしその5日後の12月6日、ファーウェイとライバル関係にあるスウェーデンのエリクソン社の基幹ネットワークに不具合が生じ、世界中でエリクソン社の通信設備を採用している国に、史上最大規模の世界同時多発通信障害が発生した。さらに中国は報復としてカナダの元外交官を拘束し、同時期に高知県沖で米軍機が2機不可解な墜落をしている。米中関係はかつての米ソ冷戦時以上の危機的な関係にある。

 アメリカは、トランプ大統領の誕生の背景にある移民流入による国内を分裂させた人種間対立がもはや修復不可能で、「強いアメリカを取り戻す!」とばかりに周辺国にケンカを吹っ掛けている。国家が傾くと、ナショナリズムが台頭するのは歴史的にも世界共通だ。今、世界中の国々がそれぞれのナショナリズム(国家主義)で互いに睨み合っている。

アメリカの「祖国」のイギリスでも、同じく移民問題による国内の混乱でかねてから距離を置いていたEUからの正式離脱を表明したが、EU残留派のアイルランドとイギリス北アイルランドとの紛争再燃が現実味を帯びてきた。

中東では、イランとイスラエルが国境付近で互いの戦闘機の落としあいを続けており、アメリカも対イランで強力な制裁包囲網を敷き、イランの原油減産危機を守りたいサウジアラビア皇太子が親米派の記者を殺害(事実上の処刑)したりと、もはやドロドロの一触即発の開戦危機だ。

日本は、戦後一貫してアメリカの植民地のままなので、トランプに従い対中国に動くが、隣国韓国との関係が徴用工裁判や慰安婦問題などで先行き不透明で、守ってくれるはずのアメリカからは、防衛にまるで役に立たない兵器を言い値で買わされ、沖縄での在日米軍基地問題もアメリカ言いなりで処理しきれず本土との民族問題にすら発展してきており、北朝鮮問題も絡まり、ヘタをすれば中東と似た紛争地域になってしまうリスクが日本周辺にはある。(実際に歴史的背景や地理的・利害関係も中東に良く似ている)

他にもあげればキリがないが、今現在の世界情勢は第二次大戦以後最も危機にあると言え、実際にあちこちで小規模テロや小競り合いが毎日のように頻発している状況では、「すでに第3次世界大戦が始まっている」といっても過言ではないと言えるだろう。

(デザイナー)